思い出したこと
重度の認知症でただえさえ手のかかる父親が病気が治りますようにと何時間も仏壇にお祈りをするようになり、介護している息子は疲れ果てもういつ父親が死んでも構わないと思い詰めている、という話を聞いた。
動揺してしまった。
私の兄が学校に通えなくなった時、親は兄と向き合うことをせず日々恫喝し続けた。当たり前のように状況は泥沼化、母は以前ハマっていた新興宗教とよりを戻し、あまつさえ兄を連れてよくわからないお札をもらいに行ったりもした。
そういう、一連のことを思い出した。
頼りにしていたはずの人間がおかしくなってしまう恐ろしさ、もどかしさ、怒り、悲しみ、自分に対する失望。
でも、一旦離れてみればそういう感情は褪色していって、育ててもらった恩のようなものでさらに誤魔化すこともできる。
歳を取るのは素晴らしいことだ。