水の話
今日は出かけてぶらぶらと街を歩いた。
比較的大きな川の護岸にある広場に階段状のベンチがあったのでそこに座ってしばらく水を眺めた。
わたしは水が好きだ。
寄せては返す波や、岩や山の間を縫うような荒々しい川もいいし、もちろん今日見たような静かな川も、田んぼの脇の草がぼうぼうと生えた水路も、雨の日に水はけの悪いところにできる水たまりや雨水の流れも好きだ。
建物の吹き抜けに作られた人工的な滝、広場の噴水、よく分からないモニュメントの表面を伝う水など、流れのある液体なら何時間でも見続けていられる。
「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」と鴨長明が言ったが、わたしの水に対する飽きなさはそこに集約されると思う。
同じところを通るのに水は少しずつ違う動きをする。
自分の時間が可視化されているように感じるのかもしれない。
そんなことを考えながらベンチに座っていたら体が冷えて風邪をひいてしまった。