手作りの話
最近手芸をしていない。
5年くらい前は、心がとてもつらい時期だった。
手を動かして何かしらの成果物を生み出すと気持ちが楽になるらしいと聞き、幼稚園のように季節の飾りを折り紙やらフェルトやらで作っていた。
夜中に思い立って、ひたすらちまちまと作業をして、完成する頃にはもう夜が明けていて、そしてちゃんと心が軽くなっていた。
七夕、ハロウィン、クリスマスなどの飾りを、たぶん3年くらい作り続けたと思う。
当時まだ彼氏だった夫は、いつもそれをすごいすごい、美術館に寄付できるよ、などとほめたたえてくれた。本当にありがたいことだ。
もう2年くらい作っていない。
今はもう一日中コンテンツに溺れても頭の中で声が響かなくなった。
当時のわたしには、無心で手を動かすことがすごく必要な事だったのだと、真っ白な壁を見て思い出した。