実家に帰った
この前の三連休にわたしの実家に帰省した。
離れて見聞を広めたからこそ見える実家の悪いところをわりとそのままに受け止めて「まあうちっていつもこうだから」のエクスキュースで包み込めるようになった。
実家の良いところも自分で気づけるようになったし、何より自分にないものを数えて生きていくのはもうやめようと思った。
やりたくない手伝いはしないで、それを自分がまだ罪悪感として感じているのを逆手に取って、お互い様だとばかりに家族の嫌なところに眼をつぶる。
人間は空間に記憶を保存する、という言葉がある。
本当にその通りで、地元の風景を見て昔の自分が何をみてどう感じていたのかを思い出し、その剥き出しの感性にヒリつく。
当時は何もかもがいっぱいいっぱいで、頭の中でとりとめもない言葉がウワンウワン反響していた。
部屋は常に足の踏み場もなく、慢性的な不眠とストレスで顔はいつもニキビだらけだった。
結婚してからしばらくしたある日、頭の中が静かになっていることに気づいた。
みんなこんな風に生きていたのかと初めて知り、自分にもその生き方が出来るのだと驚いた。
実家に帰ると、沢山のことを思い出す。
いつか思い出せなくなる日がくるのかもしれない。